コラム第825号:「個人情報保護法のいわゆる「クラウド例外」について」

第825号コラム:小向 太郎 理事(中央大学 国際情報学部 教授)
題:「個人情報保護法のいわゆる「クラウド例外」について」

最近、個人情報保護の分野で、「クラウド例外」ということばを聞くようになった。クラウド例外とは、個人情報保護委員会が公表しているQ&Aの、次の記述のことである。

「(個人データを含む電子データを取り扱う情報システムに関して、クラウドサービス契約のように外部の事業者を活用している場合に)当該クラウドサービス提供事業者が、当該個人データを取り扱わないこととなっている場合には、当該個人情報取扱事業者は個人データを提供したことにはならない(「個人情報保護委員会『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」A-53)」

 これが問題になるのは、次のような懸念があるからである。

①個人データの第三者提供には、原則として本人の同意が必要である(第27条第1項)
②クラウドサービス上に個人データを保存することが第三者提供になるのなら、本人の同意を取らなくてはならない
③クラウドサービス提供者が、個人データ取扱いの委託先に当たるのであれば上記の第三者に該当しない(第27条第5条第1号)が、提供者には委託先の監督が義務付けられる(第25条)
④外国にある委託先への提供は、上記の第三者から除外されず、原則として本人の同意等が必要である(第28条)