第651号コラム:「オンライン診療と遠隔医療」

第651号コラム:和田 則仁 理事(慶應義塾大学医学部 外科学 専任講師)
本研究会理事の古川俊治先生と遠隔医療の研究を始めたのは2001年のことでした。当時は動画伝送がISDNから光ファイバー(FTTH)に移行しつつある時期で、またADSLも広く普及してきた時期でブロードバンドという言葉も市民権を得てきており、一般家庭にもインターネットが入り込んできていました。外科医という立場で遠隔手術の研究をしていたのですが、当時の結論としては、無理して遠隔地から手術をするよりは、患者を運んだ方が早いだろうというものでした。当時、厚労省は遠隔医療に対して保守的で、1997年12月24日の厚生省健康政策局長通知、「情報通信機器を用いた診療(いわゆる『遠隔診療』)について」では、「診療は、医師又は歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本であり、遠隔診療は、あくまで直接の対面診療を補完するものとして行うべきものである」とされました。具体例として離島、へき地における在宅難病患者や在宅糖尿病患者等が示されるという、限定した応用に限られました。