コラム第798号:「コンテンツ・モデレーションと媒介者の責任」
第798号は、小向 太郎 理事(中央大学 国際情報学部 教授)
題:「コンテンツ・モデレーションと媒介者の責任」
最近、コンテンツ・モデレーションという言葉を、よく聞くようになった。例えばデジタル大辞泉では、コンテンツ・モデレーションを、次のように説明している。
「インターネット上の不適切なコンテンツを監視し、必要があれば削除すること。主にソーシャルメディアや動画共有サービスに投稿された暴力・虐待・ポルノなどの画像・動画を対象とする」
日本では、コンテンツ・モデレーションのことを「投稿監視」と訳しているものも見かけることがある。これだと、プラットフォーム上の情報を監視して、なにか問題のあるコンテンツを見つけ次第すぐに削除しようとしているような印象を受ける。しかし、規制や管理ではなくモデレーション(緩和、軽減)という言葉が使われていることを考えると、本来はもう少し緩やかな概念だといってよいだろう。実態としても、不適切なコンテンツの根絶を目指すものとは考えられていない。