コラム第780号:「国家安全保障戦略 - 何をだれから守るのか? 国益 (National Interests) とは何か?」

第780号コラム:丸山 満彦 監事(PwCコンサルティング合同会社 パートナー、情報セキュリティ大学院大学 客員教授)
題:「国家安全保障戦略 - 何をだれから守るのか? 国益 (National Interests) とは何か?」

昨年12月に国家安全保障戦略が閣議決定されました。2013年に策定されてから、9年目の改訂ということになります。日本近辺では、中国が経済的にも、軍事的にも拡大しているというのも背景にあるのでしょう。また、サイバー攻撃や偽情報の拡散等による影響工作等により、平時と有事の境がグラデーションになり、平時と思える状況であっても、有事を想定した準備をより強くしていく必要があるというのも、今回の改訂の背景にあるかもしれません。でも、振り返って考えてみると、安全保障戦略によって守るべきものは何かという議論が十分に行われていないような気もします。ややもすると、守り方の手段(例えば、防衛費の増額。アクティブサイバーディフェンスの是非。クリアランス制度の創設など)の話に意識が行きがちなのかもしれません。私たちは、何をだれから守ろうとしているのでしょうか?少しそういう視点で考えてみるのも悪くないかもしれません。