コラム第752号:「サプライチェーンリスク時代の医療セキュリティとは

第752号コラム:江原 悠介(PwCあらた有限責任監査法人システム・プロセス・アシュアランス部ディレクター、IDF理事)

題:「サプライチェーンリスク時代の医療セキュリティとは」

様々な報道で目にする通り、2022年も様々な国内の医療機関がランサムウェア被害を受け、患者診療の継続性に影響を及ぼす事案が多発した。直近で最も記憶に新しいものは大阪急性期・総合医療センターであろう。

大阪急性期・総合医療センター( https://www.gh.opho.jp/ )では、2021年のつるぎ町立半田病院における被害事案を受け、外部事業者による院内システムへのリモートメンテナンス機器の脆弱性への対応を行っていた。それにもかかわらず、配食サービスを提供していた外部事業者の業務ネットワークに設置されたVPN装置の脆弱性が悪用され、外部業者の感染被害が、当該業者と拠点間ネットワーク接続していた総合医療Cの院内システムへ拡大するといった、二次感染の被害を受けたものであった。医療機関には電カルや医事会計システムという基幹系システムのみでなく、各診療科の専門的な用途に適した部門システムが様々に導入され、その中には外部事業者とほぼ常時接続型で結びつく外部サービスも多数存在する。

医療機関は機微性の高い患者情報を預かり、それに基づき人の命を扱う業務を提供する。