第655号コラム:「サプライチェーン分析と経済安全保障について」
第655号コラム:守本 正宏 理事(株式会社FRONTEO 代表取締役社長)
今や軍事技術が先端技術として活用される時代から、民間技術が軍事技術に転用される時代へと変化し、最先端技術を持つ人や企業、サプライチェーンを把握し確保することは国家の安全保障にかかわる事項となってきました。つまり、経済安全保障という考えが今や国家戦略、企業のグローバル戦略を考える上で必須となっています。 例えば、現在、新型コロナウィルス感染者拡大に歯止めをかけようと、ワクチンの確保は喫緊の課題となっています。各国が自国民のために優先的に確保しようとすることは当然の事であり、EUが域外提供を阻止しようとすることも当たり前のことでしょう。人道的観点から占有すべきではない、という考え方は建前としてはあるでしょうが、政府が自国民を犠牲にしてまで他国に出したくはない、と考えるのは自然なことです。