第503号コラム「医療訴訟における医療水準と医療の質」
和田 則仁 理事(慶應義塾大学 医学部 一般・消化器外科 講師)
裁判所の統計(http://www.courts.go.jp/saikosai/iinkai/izikankei/)によれば、医事関係訴訟事件の新受件数は近年微増傾向にあり、平成28年は878件でした。審理期間は短縮されつつありますが、全事件の平均期間が6.5か月であるのに比べ、24.7か月と長期間になっています。なお、他の類型では公害差止め(33.8か月)、建築瑕疵損害賠償(24.8か月)も長期に及ぶ訴訟となっています。医療裁判では、特に鑑定を要する裁判で審理期間が長くなっており、専門的な判断を要する医療訴訟ならではの事情があるようです。