第439号コラム「デジタル・フォレンジックの過去、現在、これから」
舟橋 信 理事
デジタル・フォレンジックは、1970年代後半から犯罪捜査に用いられるようになってきた。初期には、ゲーム機に取り付けられたROMに記録されている違法なプログラムの解析が行われていた。私が赴任した県警では、プログラムの改ざんの有無について、比較的安価に入手できたNEC製のトレーニングキット「TK-80」を用いて、ツールを自作していた。
当時は銀行のオンラインシステムの整備が進められていた時期でもあり、バンキングシステムを利用した職員による犯罪も多数発生していた。職員による詐欺事件では、メインフレームの磁気ディスクや磁気テープなどの証拠物に対してデジタル・フォレンジックが実施された。その後のパソコンの普及やインターネットの発展は、サイバー犯罪の急激な増加をもたらし、パソコンやサーバー、スマートフォンなどがデジタル・フォレンジックの対象となってきた。